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ご挨拶

2016年11月4日更新

会長 浅見忠男

 IT関連の技術革新は私たちの生活習慣・環境を大きく変えつつあります。人が運転するのが当たり前と思っていた自動車も自動運転に向けた開発が続き、これまでの自動車製造にもトヨタやフォルクスワーゲンに代表される既存の製造会社だけでなく、Googleを筆頭とするIT関連会社も参入を検討してくるようになり、自動車の発明以来の大きなパラダイムシフトが起きる可能性も指摘されています。既に我々はデジタルカメラの普及によるフィルムカメラの販売減による巨大なフィルム製造販売会社であったコダックの倒産も目の当たりにしています。そのデジタルカメラもスマートフォンにより販売量を大きく減少させつつあります。また大きく報道されたAIの発達は、囲碁の世界でも人間を凌駕するような状況を生み出すようになり、このままでは人間の能力を必要とする分野がなくなってしまうのではないかと錯覚してしまうほどです。古代ローマでは、戦争で獲得した奴隷を働かせることにより市民達は豊かな生活を享受していたようですが、我々もAIをうまく使うことにより幸せになれるのでしょうか。将来無くなる職業という内容の報告も出ていますが、その中では具体的な職業がAIにより人間から職を奪う事も予想されています。職を失った人々は、古代ローマ市民のようにAIのサポートで幸せになるのでしょうか。このような人間を必要としない世界は現実化しないと考えていますが、人間は職を奪われても食は必要です。我々はバーチャルな食では生きていけません。

 植物化学調節学会は2016年10月3日より、一般社団法人となりました。しかしながら引き続いて研究発表の場を提供すること、学会員を顕彰すること、学会誌を発刊すること、で会員の研究を奨励・支援し、会員の皆様のさらなる発展を応援することには変わりはありません。しかし、法人として責任が増したことで、また社会への発言力も増したと考えています。会員の皆様の意見を集約することで、植物生長調節の分野をさらに発展させていくことができるはずです。植物化学調節学会では基礎の分野の研究者もいればトランスレーション的な研究者や応用を目指す研究者も参加します。上記の「将来無くなる職業」の報告によれば、人を育てる職業、守る職業、先端研究者はこれからも必要とされるようです。植物化学調節学会での研究は、「みどりの革命」における植物ホルモンジベレリンの応用に見られるような食の生産に大きく関わる分野です。この学会に参加される皆様が、基礎と応用の両方を見据えて研究に取り組まれ、面倒なことはAIに任せても食の心配をせずに幸福に暮らすことができる将来に向けて貢献されることを期待しています。そのための学会でもあり、研究発展の場として今後も貢献していくことができるように務めるつもりです。植物化学調節学会を宜しくお願いいたします。